ちょんな
「ちょんな」とは、木を削る大工道具として
古くから使われている手斧の事です。


<平成20年7月>

 最近、新聞の経済欄で人口減少という言葉を目にするようになった。人口減少といえば、少子高齢化とすぐ思い浮かぶ。子供が減り、かつ女性が産む子供の数が少ない為に人口が減少してしまう、といったイメージを持つ。ところが、このイメージは間違っているらしい。今年の初めに人口減少と日本経済という講演を聞いた時のことでした。意外だったので、その時の話を紹介します。

 驚いたのは、これから日本が迎える人口減少という事態は、有史以来世界で初めてのことだ、というのです。私は、北欧などでは既にそういう状態になっているのだ、と思っていました。又、歴史の中では、同じような事態がどこかで起きていた、と思い込んでいました。ところが、少子高齢化は先進国共通でも、人口減少は日本だけで、現在のヨーロッパでも、少なくとも現状維持か微増。わずかにドイツだけが日本に近い状態だ、ということです。戦争とか中世のヨーロッパでのペスト等、一時的に人口が減少したことはあっても、現在の日本のように定常的に減少していく事態は、歴史上先例がないそうです。

 数字を聞いて、さらに驚きます。2055年には9000万人をきって、2005年と比べると何と3800万人、3割の減です。又、労働力人口に至っては、2005年から2030年で1100万人、約2割の減です。この数字は甘く見た方で、厳しい見方をすれば、さらに5%位少ないとのこと。人口が最も多いのは2004年で、既にピークは過ぎている、といことでした。人口予測というのは、どんな経済予測よりも確実だそうです。そして、人口が減少するということは、間違いなく経済も縮小するのです。土地も家も、今までより必要なくなるのです。消費者が減れば、店舗数も減るのです。

 今まで私たちは、常に去年よりは今年、今年よりは来年と僅かでも右肩上がりの成長をモデルとしてきました。多くの企業を見ても、又国も、右肩上がりの成長を基本としています。当たり前といえば、当たり前です。人間は成長しますから。子供は大きくなります。子供の成長に応じて、費用は増大します。車も古くなります。古くなれば、新しい車が必要になります。どうしても、個人レベルでは、費用が増大してゆくのです。一方、全体の経済規模は減小するのです。一体どのようにして、バランスが取られるのでしょうか?

 人口減少はニュースになるようなエポックではないけれど、静かに静かに進む大きな変化であることに間違いありません。そして、それは今の不景気も、私達業界が置かれた厳しい状況も飲み込んで、どうしようもなく確実に進行して行きます。

<M.I>

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