ちょんな
「ちょんな」とは、木を削る大工道具として
古くから使われている手斧の事です。


<平成22年9月>

チキンカレーの定食
 水窪の町中、農協の横に「いそへい 還暦食堂」の看板と幟が見える。時刻は11時半、お昼御飯にしよう。店の前にバイクをとめて店内に入る。キーは付けっぱなしだ、水窪だからな。先客が二人いる、中電の作業服のような服装だ。本日の定食を注文している。「本日の定食 チキンカレー、味噌汁、小鉢、漬物」とホワイトボードに書いてあるが、値段が300円だ。近頃こんな値段の定食は聞いたこともない。

 調理場の上に張られたお品書きの札を見ると「本日の定食300円」一枚裏返しになっていて次に「卵丼200円」「ラーメン200円」「キツネ丼250円」「コーヒー、紅茶100円」「日本酒一合200円、焼酎お湯割り一合100円」「ビール(缶)250円」となっている。これで全てのようだが、びっくりするより笑えてきた。値段に見あっているのだろう、店主夫妻の愛想もよろしくない。店に入ったときに「いらっしゃい」と言われなかったような気がする。200円のラーメンに心惹かれるが定食を頼んでみよう。お茶を持ってきてくれた奥さんに「定食と紅茶」と注文する。「はーい」と普通の対応だ。

 先客の注文したカレーを見ると、量は少ないが野菜の多く入った昔風の黄色いカレーだ。値段の衝撃にもなれたので店内を見渡すと、普通の家の土間に調理場とテーブル席を作った最低限の改装のようだ。テーブルが4卓に椅子が12脚ほどあるがみんなバラバラでまったく統一性がない。家庭の不用品を寄せ集めたようだ。もう一人お客さんが入ってきて「ラーメン定食」と注文した。ラーメンに御飯と小鉢でも付くのだろうか。

 チキンカレーができてきた、カレーライスにワカメと豆腐の味噌汁、たくあん、菜っ葉のお浸しが付いている。鶏肉二切れ、ジャガイモ、ニンジン、絹さや、菜っ葉の軸が入ったカレーだ。手元の野菜を全部入れてカレーの具にしているのだろう。黄色くてさらっとして辛い、昔の家庭の味がする。「おいしい(喜)」というものではないが「まずい(怒)」というものでもない。味噌汁がうまい、濃い味ではなくしっかりした味がする。出汁をきちんととっているのだろう。カレーを食べ終わった頃合を見て紅茶を持ってきてくれた。ティーバッグだがちゃんとカップに小皿で蓋がしてあり、蒸らされていい具合になっている。カップとソーサーはお揃いではないが、丁寧な感じがいい。もう一度お品書きの札をつくづくと眺めてしまう。裏返しになっている札はなんだろう。もしかしたら「親子丼」かもしれない。本日の定食のチキンカレーで鶏肉を使ってしまったので今日は親子丼が出せないのではないだろうか。肉類は鶏肉だけにしているのかもしれない。まてよ、そうするとラーメンには焼豚が入らなくなる、今度来た時に確かめてみよう。


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