ちょんな
「ちょんな」とは、木を削る大工道具として
古くから使われている手斧の事です。


<平成22年9月 PartK>

吉田のうどん
 日曜日の朝、NHKの「小さな旅」が富士吉田の富士講を取り上げていた。

 そういえばこのごろあそこでは「うどん」で町おこしをやっている。こんな番組を見たのも何かの縁だろう、富士吉田へうどんを食べに行こう。富士吉田まで約170キロ、富士がついてもここは山梨県だ、けっこう遠い。市内を貫く国道139号線沿いには「吉田のうどん」と染め抜かれた幟がちらほらと見えるが、街全体がうどん一色という雰囲気ではない。地元の人だけしか知らない穴場のお店、なんてわかるわけがない。ただ一軒知っているのは、暖簾も看板もないことで有名な「白須うどん」だ。139号線沿いのどこかにあるようなので、国道をゆっくりと走っていく。普通の民家のような店構えだというし、看板もなくて発見できるだろうか。市街地を抜けてしばらく行くと、車が路上につながって、人だかりがしている家がある。ここではないだろうか。車を止めて覗いてみるとまず目に付いたのは「当店は日曜定休です」「路上に駐車しないでください」と書かれた大きな看板。店の名前はどこにもない。家のつくりはまったく普通の民家である。玄関は待っているお客さんで一杯だ。たぶんここが「白須うどん」だろう。出汁のいいにおいが外まで流れてくる。早速、玄関の行列に並ぶ。座敷と縁側に座卓が7卓並べられ、全部で40人は入れるだろうか。席にはまだ余裕があるが、待っている人が20人ぐらい居る。列は後から後から延びていく。「原材料高騰のため値上げさせていただきます」と入口に書かれているが、いくらになったのかわからないし、だいいち、メニューらしきものがまるで見当たらない。どうやって注文するんだろう。悩んでいるうちに、厨房の前までやってきた。厨房では3人が大わらわだ。お父さんらしき人が、大きな釜で麺を茹でている。驚いたことに茹でながら、その横で麺を打っている。見ている間に、一枚打って切ってしまった、早い。あとの二人はお母さんと娘さんだろう。お母さんは茹で上がった麺をどんどん盛り付けていく。カウンターまで運んでくるのは娘さんだ。作っているのをみると、うどんには「あったかいの」と「つめたいの」の二種類しかない。他のお客さんの支払いを見ると、どちらも350円だ。麺の量も多いが、その上に茹でたキャベツがてんこ盛りである。意外な組み合わせだが、このあたりキャベツの産地なので、ネギより安いだろう。どうせ二種類しかないのだから、両方注文してみる。渡されたうどんを見て「ひとつにしときゃよかった」。普通のうどんの倍の量はあるだろう。一本つまんで「うぐ」である。固い、生かと思うくらい固い。しっかり噛んで飲み込む。「おはたき餅」の硬いのを食べているみたいだ。粉の味がしておいしい。キャベツもほどよい茹で加減で悪くはない。つゆは少し薄めでうどんとのからみがいまひとつだが、主食代わりならこれでいいのかな。

 何とか両方食べてしまったが、これでは、はしごは無理である。また今度。


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