コラム「ちょんな」

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ちょんな 浜松建設業協会の総務・情報委員会メンバーによるコラムです。

2011年2月

 今年は、珍しく厳しい冬です。1月17日には、何年ぶりでしょうか、一面の雪景色でした。幹線道路は大渋滞。現場に行くのにいつもなら30分の所が3時間もかかってしまう程の混乱でした。でも、その美しさに思わずカメラのシャッターを押してしまいました。

 話は変わりますが、昨年夏に初めてニューヨークに行きました。テレビや映画でよく見るマンハッタンの摩天楼。世界で最も容積率が高い街だそうです。ニューヨーク街並-1単なる高いビルの集合は迫力だろうけれど、風景としての力には欠けるだろう、と思っていました。高層ビルが立ち並ぶ街の風景にそれほどの期待もしていなかったのですが、実際に行って驚いたのは、その迫力でした。感動を感じました。

 歩道のすぐ際からはるか高みに直立する壁の連なり。それら林立する壁が、足元の歩道を歩く人間を出迎えるように真っ直ぐ前方につながっています。日本にも高層ビル街はあるけれど、その多くは周囲に公共空地を配し、実にバランスよく建物が建っています。耐震や防災上必然的にそうなっているのでしょうけれど、体裁が良すぎる。きれいなことは綺麗なのですが、理路整然とし過ぎて無味乾燥なのです。それに比べ、まるで自然発生のように隙間なくニョキニョキと高みを目指す建物は、私達を逃げようのない迫力で取り囲みます。しかもそれらの建物は、様々な表情を持ち無味乾燥でない。恐らく古い物ではエンパイヤステートのように1930年代から現代まで、時代時代の異なる表情で私達を飽きさせない。列柱が連なるエントランス、簡素に直線的なモールで囲んだ窓枠、蔦模様を配した軒etc。特に古い物ほど豊かな表情を見せる。それらに取り囲まれることで、私たちは自分の存在を一層自覚する。まるで舞台に立つ俳優のように、思わず胸を張り、顎を引き締める。この街を大股で闊歩するだけで、ドラマの主人公になったような興奮を覚える。ビルの谷間に黄色いタクシーキャブがニューヨーク街並-2列をなして信号待ちしている風景も、何故か様になる。

 様々な街で建物は街並みを構成し、その街独自の風景を見せますが、高いビル群が必ずしも威圧感や疎外感を感じさせるのではなく、かえって勇気を与えるように私達を際立たせるものだ、ということを知りました。最後にこう言わざるを得ません。流石、ニューヨーク。世界の人々が言うだけのことのあるニューヨーク。

<M.I>