2022年4月
都市部の地籍調査を行うため、平成18年頃からDID(人口集中地区)において都市再生街区基本調査により測量の基準点が設置されました。この基準点は、地籍調査の測量だけでなく、公共工事や土地の分筆等にも用いられています。基準点には、街区三角点(500m間隔)、街区多角点(200m間隔)等があり、さらにこの基準点を補完するために節点、補助点等があります。基準点を使用して測量しますと面積や境界の位置が共通化されますので後でも境界等の復元が容易になりますし、災害時にも復旧が可能となります。
基準点は、XY座標で表されます。このXY座標の基準となるものが測地系と言われます。日本でももともと日本測地系という座標系を使用していましたが平成14年に測量法の改正もあって世界測地系に移行しました。近年のGPSの技術発展等により、世界測地系への移行は、測量の世界では常識ともなって世界測地系の座標が通常の業務で使われるようになっています。世界測地系を使用するようになって最近ではGNSS(全世界的衛星測位システム)といいまして衛星からの電波を連続的に受信してその位置の座標が即座に判明するという最新の測量器具もあります。この測量器具は、人が手にもって移動が可能でおよそ1分程度でその位置の座標が判明し、測量誤差もおよそ1cm以内という非常に優れたものでかなり使われるようになりました。
浜松建設業協会の周りにも様々な基準点が存在します。
街区多角点(3級基準点)や街区節点(3級基準点)及び公共基準点(4級基準点)があります。この基準点をもとに測量を行いますが近くに基準点が無い場合も多いものですから自分で任意の基準点を設置します。この場合は、閉合トラバースを組むのですが距離や精度もいろいろな条件がありまして大変気を使う作業ですがこのトラバースの基準点から境界を測量するものですからなるべく誤差の無いように注意しながら進めるようにしています。
こうした基準点は、主に側溝の縁に設置されています。基準点については、恒久的地物に設置するということでアスファルトでは動いてしまう恐れもありますので基本的に側溝の縁に設置することが多くなっています。側溝などの構造物が無い場合は、舗装にも設置することはありますがその場合は、モルタル等で鋲を固定して設置する方法で行っています。
土地の境界が無くなっても基準点が残っていれば境界の復元は簡単にできます。しかしながら基準点が無いとトラバースから始めないといけませんのでかなり時間がかかってしまいますし、測量誤差も大きくなってしまうこともあります。そうした意味では、道路工事などで基準点をなくしてしまったりすることも多く見受けられます。側溝改修などで側溝そのものが無くなってしまう場合は、仕方ありませんが少なくとも工事することに際して安全はもとよりこうした基準点等の測量成果物にも十分注意して工事を進めてほしいと思っています。
街区多角点(3級基準点) 公共基準点(4級基準点) < H.H >